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連邦憲法裁判所、刑事手続における合意を承認

   

    連邦憲法裁判所は319日(火)、刑事手続における合意(取引)を原則的に認める基本判決を下した。但し、裁判官と検察官は法規定に則って合意手続を行わなければならない。法規定を厳守しない非公式の合意(不法な取引)は違憲であり、禁止される。

    ドイツでは、2009年に刑事手続における合意が刑事訴訟法257条Cに規定された。一定の手続(条件)のもとで、刑事手続における合意が認められている。

    連邦憲法裁判所に訴えられていたケースでは、その合意による判決を違憲として取り消し、管轄の裁判所に差し戻した。ベルリン地方裁判所は証拠調べをせずに被告人の自白だけに基づいて判決を下していた。また、合意による判決の場合には合意なしの判決の場合よりもはるかに低い刑の上限を約束していた。

    今回の判決では、法律を厳守しない非公式な合意は不適法であることが強調された。そのような短縮された裁判は絶対的な上告理由になるとしている。

    また、検察官による合意のコントロールの重要性が指摘された。今後、検察官は非公式な合意に参加してはならず、非公式な合意に基づく判決に対しては控訴しなければならないという。

    通常のケースでは、被告人が自白する場合に裁判所が刑の減軽を約束することがあるが、そのような合意は、透明性が保証され、合意が調書に記録される場合にのみ有効である。連邦憲法裁判所は透明性とコントロールの必要性を強調した。

    従来行われてきた合意手続には「著しい執行上の欠如」があるとして、立法者に法律の厳守をコントロールするよう求めた。法的規定が引き続き著しく無視される場合には対処しなければならないと警告している。

    これまで、法律に規定されている合意手続条件が必ずしも守られておらず、裁判にかかる時間と費用を節約するために非公式な合意が行われることが多かった。長引く訴訟を回避するために、特に経済犯罪と麻薬犯罪の訴訟に多い。

    連邦憲法裁判所の調査結果によると、ノルドライン・ヴェストファーレン州では回答した裁判官、検察官、弁護人の半分以上が非公式に(例えば、調書に記録しない)合意を行っていることが明らかになった。区裁判所と地方裁判所における刑事手続の20%は合意に基づいて終結している。被告人が合意後に自白すると、刑が最高で30%減軽されている。

    回答者の3分の2は非公式合意の主因として「法律が実務的でない」ことを挙げている。非公式な合意により、裁判にかかる時間と費用を節約し、時間のかかる証拠調べを回避することができるという。

    しかし、合意が調書に記録されないこと、量刑に関する交渉がしばしば公判外で行われること、虚偽の自白が審査されないこと、事実関係が明白でないのに被告人が自白すること、禁止されている刑の免除が約束されることなど、非公式な合意は法規定に反している。

    連邦憲法裁判所は、このような裁判所の現状は2009年に制定された法律規定を著しく無視するものであると厳しく批判している。非公式な合意が横行している原因は法規定自体にあるのではなく、「非公式の合意があってはならない」という明確な意識の欠如にあるという。

    「この判決は立法者への指摘を意味するだけではなく、刑事手続におけるすべての関係者への重大な警告である」としている。

    今回の判決は各方面でポジティブに受け止められている。ロイトホイザー・シュナレンベルガー連邦法務大臣は、連邦憲法裁判所が裁判所の現状にイエローカードを出したと見ている。立法者は「制限された合意のコルセット」を締める改善策を考えなければならないと語った。

2013年3月26日)

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