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連邦内閣、妊婦援助及び内密出産に関する法案を閣議決定

   

    連邦内閣は313日(水)、妊婦援助及び内密出産に関する法案を閣議決定した。同法案は、母親と子供にとってリスクのある、医療施設以外でのひそかな出産をなくし、生まれた子供の遺棄・殺人を防止することを目的としている。

    シュレーダー連邦家庭相は、「赤ちゃんポストによって新生児が救われることは喜ばしいことである。しかし、絶望している妊婦に対してできるだけ早い時期に母親と子供を効果的かつ継続的に援助するサービスを提供しなければならない」と語った。

    個人的理由から、申告義務のある通常の出産に不安を持つ妊婦に対して、早い時期に心理的・社会的カウンセリングを提供し、絶望的な状況からの打開策を示して、適時に内密出産の準備をする。危険な状況でひそかに出産する代わりに、医療設備の整った病院で出産するためである。

    現在、赤ちゃんポストと匿名出産は法的にグレーゾーンにある。そこで、連邦政府は合法的な内密出産を規定して、法的な明確化を図る。それにより、母親と子供の医学的・法的保護が改善され、他の関係者にも法的安全性が保証される。

    同法案によると、困難な状況下にあっても新しい人生を歩むことができるようにするために、母親には子供が16歳になるまでの期間、本人データの匿名化が保証される。生まれた子供は生後すぐに、世話をしてくれる信頼できる人に預けられ、16歳になると自分の身元を確認することができる。

    また、妊婦のためのカウンセリング・援助システムを整備する。

    法制化された内密出産は赤ちゃんポストと匿名出産の代替になるものである。同法は2014年5月1日に発効する予定である。それまでにカウンセラーの養成、出産登録における電子化、緊急通報センターの設置、24時間ホットラインなど、必要な環境整備を図る。

    ドイツでは年間約100人の子供が病院において匿名出産で生まれるか、医療援助なしにひそかに産まれて赤ちゃんポストなどに預けられている。

    ドイツ少年研究所の調査結果によると、2000年~2010年の期間に652人の子供が匿名出産で生まれた。278人は赤ちゃんポストに預けられ、43人は匿名で預けられた。毎年20人~35人の新生児が遺棄されている。

    シュレーダー連邦家庭相は、今後、赤ちゃんポストを査定して、拘束力のある標準を定める意向であることを明らかにした。赤ちゃんポストと匿名出産は非合法ではあるが、容認されている。

2013年3月26日)

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