ドイツのニュース

豊かではあるが、幸せではない

   

    先進国29カ国の子供や若者を取り巻く状況に関するユニセフの2013年度研究報告書「先進国における子供の幸せ」によると、ドイツの子供の多くは豊かではあるが、幸せだとは感じていないことが明らかになった。

    研究報告書の第一部では、物的状況/健康と安全/教育/日常生活上のリスク/住居と環境の5つの観点から子供の生活と福祉を分析、評価し、第二部で「子供や若者自身の実感」を調査した。2009年と2010年のデータに基づく。

    ドイツは「総合的な子供の幸せ」で大きく改善した。2007年の調査では、ドイツは「総合的な子供の幸せ」が11位だったが、今回の調査では6位に上昇した。1位はオランダで、次にノルウェー、アイスランド、フィンランド、スウェーデンが続く。

    ドイツは「物的状況」が11位(2007年は13位)、「健康と安全」が12位(11位)、「教育」が3位(10位)、「日常生活上のリスク」が6位(11位)、「住居と環境」が13位(13位)だった。

    しかし、これとは対照的に、「子供や若者自身の実感」では9位から22位に大幅に悪化した。7人に1人が自分に対して、自分の状況に対して不満足である。この現状と実感の格差は29カ国中最も大きかった。

    フンボルト大学の専門家は、一面的な成績中心主義を要因の一つとして挙げている。ドイツ社会は豊かであるが、若者に希望や展望を与えていない。多くの若者は社会から疎外されていると感じており、積極的に社会に参加できると考えていない。子供にやさしい社会とは感じていない。もっと若者の声を聞いて、一緒に社会を形成していくチャンスを与えることが大切だと指摘している。

    ドイツでは経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査(PISA)の結果が大幅に改善した。また、15歳~19歳の若者の96%が学校に通うか職業訓練を受けている。スペインやイタリアでは学校にも行かず、職業訓練も受けていない若者が10%以上だった。

    傷害事件も少ない。過去1年間で暴力を伴う喧嘩に巻き込まれた若者は30%以下だった。スペインでは60%以上、ギリシャでは50%を上回った。

    29カ国中、ドイツは喫煙者の割合が最も減少している。アルコールや麻薬の消費も他国に比べて少ない。未成年者の妊娠も減少している。

    健康における唯一の欠点は予防接種で、最も危険な小児病の予防接種を受けている若者が95%弱だった。ハンガリーやギリシャでは98%。

    肥満の割合は29カ国平均で10%以上に上昇したが、ドイツは15%を上回った。米国、カナダ、ギリシャは20%。

    ドイツの若者は十分に評価されていない、受け入れられていないと感じている。ユニセフの専門家は、若者へのプレッシャーを抜き、成績だけで評価しないよう呼びかけている。

 

2013年4月26日)

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