ドイツのニュース 年金改革法、成立
連邦参議院は6月13日(金)、連邦議会がその3週間前に可決した年金改革法案を承認した。年金改革法は2014年7月1日に発効する。(2014年1月23日のニュースを参照)
年金改革法によると、法定年金保険に45年間年金保険料を払った被雇用者は2014年7月1日から63歳でも年金を満額受給できる。これまでは法定年金受給開始年齢に達する前に受給すると年金が減額されていた(月当たり0,3%減額)。
保険年(保険期間)には雇用期間、自営期間、介護期間、児童養育期間(10歳まで)、短期失業期間(失業手当 I 受給期間)、悪天候手当/操短手当/倒産(支払不能)手当受給期間が含まれる。
失業手当 II (ハルツ IV )と失業救済金は年金保険給付ではなく、社会扶助給付であるので、その受給期間は保険年の算定に考慮されない。
早期退職化を避けるために(61歳での満額年金を避けるために)、「63歳からの満額年金」では最後の2年間の失業手当受給期間が算定に含まれない。但し、倒産による失業手当受給である場合は早期退職の悪用ではないので、例外とする。
また、任意で年金保険料を払い続けていた場合にも保険年が45年間であれば63歳から年金を満額受給できるようになる。
例えば、自営の手工業者は、加入義務のある法定年金保険に保険料を18年間払った後に任意の保険に切り替えることができるが、加入義務のある法定年金保険料を最低18年間払い込み、そのあと最低27年間任意で(被雇用者のように)保険料を払い続けた場合は減額なしで年金を受給できる。
但し、年金受給開始年齢が段階的に67歳に引き上げられていくため、「63歳から年金満額受給」制度も段階的に「65歳から年金満額受給」に移行する。
従って、「63歳から年金満額受給」制度は、年金受給開始が2014年7月1日以降で、前提条件を満たしている1953年1月1日以前に生まれた人にのみ適用される。1964年1月1日以降に生まれた人は条件を満たせば「65歳から年金満額受給」が適用される。
この新規定による追加支出は最初が年間約10億ユーロ、徐々に年間20億ユーロに増え、2030年には年間約30億ユーロになると見込まれている。
次に、1992年以前に子供を出産して養育した女性には「母親年金」(児童養育期間に対する年金ポイント)が従来の2倍に増える。その結果、今年7月1日から子供一人当たり月額28,14ユーロ(旧西独)/25,74ユーロ(旧東独)ほど年金が引き上げられる。約950万人の女性が恩恵を受ける。 1992年以前に子供を出産して養育した母親で、まだ年金を受給していない人には、後の年金算定の際に児童養育期間がさらに1年追加される。
この新規定では年間約67億ユーロの追加支出が見込まれている。
生業不能力年金も同様に今年7月1日から算定基準が改善され、それに伴って年金が引き上げられる(最高で月額40ユーロ増)。62歳以下で、2014年7月1日以降に生業不能力年金を受給する人が新規定の恩恵を受ける。追加支出は約10億ユーロ。
そのほか、リハビリ給付予算が2017年まで毎年増額される。追加予算は2014年が約1億ユーロ、2017年が2億3300万ユーロ。それ以降は追加予算を減額していく。これは少子高齢化社会に対応するための措置である。 この年金改革法に伴う追加費用は年間約100億ユーロになる見通しである。 一方、連邦参議院は年金引き上げも承認した。それによると、2014年7月1日に旧西独の年金は1,67%、旧東独の年金は2,53%ほど増える。約2060万人の年金受給者が恩恵を受ける。 (2014年7月17日) |