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成績の良い学生は教職コースに進学しない

   

    コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーがドイツ科学支援財団法人の委託で行った調査「大学教育レポート2020」によると、アビトゥーア(大学入学資格試験)合格者の間では教員の職業は依然として尊敬されている職業の一つであるが、成績の良い、自信のある学生では教職コースに進学する人が極めて少ないことが明らかになった。

    アビトゥーアの平均点が1,02,0の学生の38%が「理論上は教員になることも考えられる」と回答しているのに対して、平均点2,14,0の学生ではほぼ半分が「教員になることを考えられる」と回答した。「教員の職業は成績の良い学生のための職業だ」と考えている人は全体の4分の1に過ぎなかった。

    トップクラスの学生は理想の職業として、銀行員、情報工学者、マネージャー、コンサルタント、ニュースキャスター、医者などを挙げている。

    回答者の94%は、「選んだ職業が楽しいことを期待しているが、教員の職業が楽しいと思う人は59%だった。回答者の83%は「夢見る職業には昇進のチャンスがあること」を期待しているが、教員に昇進のチャンスがあると考える人は28%に過ぎなかった。トップクラスの学生では、教員に高所得と昇進のチャンスがあると考える人はさらに少なかった。

    調査をした専門家によると、成績の良い学生が教職コースに進学しない理由としては、職場としての学校に昇進のチャンスとフレキシビリティーが欠けることが挙げられるという。

    また、教員養成におけるコーチングと実習の欠如を指摘して、教職コースにもっと実習を増やすことを提案している。例えば、「教員養成トレーニングのための学校」をキャンパス内に設置することを提案している。

    一方で、専門家は、成績だけでなく、教職に適した人格であることの必要性も指摘する。教職コースに進学したい学生は適性テストや相談、実習などを通して自分の適性をもっとよく知らなければならない。しかし、現在、適性検査をしている大学は少ないという。

    ドイツ科学支援財団法人は教員養成制度の改革を求めている。また、教職がトップクラスの学生にも魅力的になるように、保障された年金、安定した職場のような教職の利点を強調するキャンペーンを実施するという。

20147月17日)

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