ドイツのニュース

連邦内閣、「両親手当プラス」法案を閣議決定

   

    連邦内閣は64日(水)、連邦両親手当・育児休業法改正案(両親手当プラスの導入及び育児休業取得の柔軟化に関する法案)を閣議決定した。同法は201571日に発効する予定である。

    仕事と育児の両立、育児の分担、早期の職場復帰を促進することを目的として、両親手当とパートタイム勤務の組み合わせを容易にし、育児休業も柔軟に取得できるようにする。

    両親手当プラス導入及び柔軟な育児休業取得に関する法案の主な要旨は次の通りである。

1. 両親手当プラスの導入: 最高14ヶ月の両親手当受給期間を最高28ヶ月の両親手当プラス受給期間に延長することができる。両親手当1ヶ月は両親手当プラス2ヶ月に相当し、両親手当プラスは両親手当の半額(上限)とする。この両親手当プラスはすべての母親と父親が取得できるが、特に両親手当受給中にパートタイム勤務する人に利点がある。両親手当受給総額は変わらない。両親手当は所得に応じて一人最高1800ユーロ(月額)。最低給付額は月額300ユーロ。受給期間は一人最高12ヶ月で、二人合わせて最高14ヶ月である。

2. パートナーシップボーナスの導入: 母親と父親が同時に、両親手当ないし両親手当プラス受給期間中ないし受給終了直後の最低4ヶ月間、週2530時間のパートタイム勤務をすると、それぞれ4ヶ月間の両親手当プラスを追加取得する。両者は使用者に申請して、その同意を証明しなければならない。

3. 両親手当、両親手当プラス、パートナーシップボーナスは組み合わせて取得することができる。

    例1)  母親が6ヶ月間育児休業して両親手当を受給する。その後、職場復帰してパートタイム勤務すると、12ヶ月間両親手当プラスを受給できる。その場合、父親は2ヶ月間の両親手当か、4ヶ月間の両親手当プラスを受給できる。その後、両者が最低4ヶ月間週2530時間のパートタイム勤務をすると、両者はそれぞれ4ヶ月間の両親手当プラスを追加取得できる(パートナーシップボーナス)。

    例2)  母親と父親が子供の出生後、週30時間までのパートタイム勤務をして、両者がそれぞれ14ヶ月間の両親手当プラスを受給することもできる。その後に、パートナーシップボーナスを追加取得できる。

    例3)  一人親家庭も新しい両親手当プラスを取得できる。これまでは両親手当受給期間が最高14ヶ月だったが、その代わりに両親手当プラスを最高28ヶ月間受給することできる。

両親手当及び両親手当プラスの算定例

    子供が生まれる前の所得が月額1400ユーロの場合、両親手当は月額910ユーロ(1400ユーロの65%)。一人当たり最高の12ヶ月間受給すると、両親手当受給総額は10920ユーロ(12ヶ月 x 910ユーロ)。

両親手当受給期間にパートタイム勤務する場合の従来の両親手当算定例: 

    この人が両親手当を6ヶ月間受給した後、パートタイム勤務をする場合は(パートタイムの給与が月額550ユーロ)、6ヶ月間の両親手当が5460ユーロ(910 x 6ヶ月 = 5460ユーロ)、パートタイム勤務期間の両親手当が3315ユーロ(約550ユーロ(出生前の収入とパートタイム収入の差額850ユーロの65%) x 6ヶ月)で、一人当たり最高の12ヶ月間受給する両親手当総額は8775ユーロになる。

新しい両親手当プラスによる算定: 

    6ヶ月間の両親手当が5460ユーロ(910 x 6ヶ月 = 5460ユーロ)、パートタイム勤務期間の両親手当プラスが5460ユーロ(910ユーロの半分(上限)455ユーロ x 12ヶ月=5460ユーロ)で、両親手当と両親手当プラスの受給期間は全部で18ヶ月、受給総額が10920ユーロ(5460ユーロ+5460ユーロ)になる。

4. 育児休業取得の柔軟化: 従来通り、子供が3歳になるまで無給の育児休業を取得できる。父親と母親は同時に最高36ヶ月間育児休業を取得できる。将来は、子供が3歳から8歳までの期間に最高24ヶ月間の無給育児休業を取得できる(これまでは12ヶ月間)。使用者の同意は必要ない。但し、3歳以降の育児休業は13週間前に使用者に申請しなければならない。3歳までの育児休業は従来通り7週間前に申請する。父親も母親もその育児休業をそれぞれ3回に分けて取ることができる(これまでは2回)。

    シュヴェーズィヒ連邦家庭大臣は、「早く職場復帰したい母親ともっと長く育児したい父親が増えており、両親手当プラスはその要望に応えるものだ」と語った。両親手当プラスの導入により、仕事と育児を分担する母親と父親を支援する期間が長くなるという。

    また、父親がフルタイム勤務を続けて、母親が長期間仕事から退くよりも両者がパートタイム勤務する方が企業も労働力を確保できるという。

(2014年7月17日)

戻る