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自転車用ヘルメットを着用しなくても100%の損害賠償請求

   

    連邦通常裁判所は617日(火)、「自転車利用者はヘルメットを着用していなくても事故の際に100%の損害賠償を請求することができる」とする判決を下した。

    「自転車利用者にはヘルメット着用が法律で規定されていない。ヘルメットを着用しなかったことを理由に、加害者と被害者の双方の過失として損害賠償請求を削減することはできない」と判断した。

    原告は2011年、自転車で職場へ行く途中、道路わきに停車した車のドアが急に開いたためにそのドアにぶつかって転び、頭部に重傷を負った。

    シュレースヴィヒ高等裁判所は控訴審で、原告がヘルメットを着用していなかったので20%の自己責任があるとする判決を下した。この判決に基づいて、ドアを開けた車の運転手とその保険会社に対する原告の損害賠償請求が20%ほど削減された。

    連邦通常裁判所は今回の上告で原告の主張を認め、高等裁判所の判決を破棄した。その結果、第一審のフレンスブルク地方裁判所の判決(100%の損害賠償請求)が有効となる。

    連邦通常裁判所によると、(損害を受けないようにするために普通の人が注意する必要のある)注意基準として重要なのは国民の「一般的な交通意識」であるという。連邦交通庁の調査によると、2011年は市町村内でヘルメットを着用する自転車利用者は11%に過ぎなかった。従って、事故が起きた時点ではヘルメットの着用は「まだ一般的な交通意識になっていなかった」と裁判官は判断した。

    但し、同裁判所は今回の判決において、同様の判断が自転車競技にも適用されるか否かには触れていない。

    連邦交通庁によると、自転車利用者のヘルメット着用率は2013年に15%に上昇した。6歳~10歳の児童では75%に達しているという。

    ドブリント連邦交通大臣は自転車利用者のヘルメット着用義務化には反対しており、任意で着用することを奨励している。連邦政府は自転車利用者のヘルメット着用義務化を法律で規定することを考えていない。

    救急医はヘルメット着用の必要性を訴えているが、交通専門家は、法律でヘルメット着用義務化すると、多くの人が自転車を利用しなくなることを懸念している。

20147月17日)

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