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ドイツの生徒の手書き能力が低下している

    ドイツ教員連盟が筆記技能研究所と共同で行ったアンケート調査結果によると、ドイツの生徒の手書き能力が低下している(筆跡が判読不能、書くのが遅い、手が痛くなる)ことが明らかになった。

    小学校教員の60%弱が生徒の筆跡に満足しているが、中学・高校教員では約20%にすぎない。

    中学・高校教員の79%は、生徒の筆跡が平均して悪化していると回答した。小学校教員の83%は、生徒手書きで文字を書く細かい運動スキルが年々低下していると回答している。男子生徒の51%、女子生徒の31%が筆跡に問題がある。

    中学・高校では、30分以上問題なく手書きすることができる生徒は全体の約30%にすぎないという。高校卒業試験の国語試験で長時間書くことが困難になることが懸念される。

    教員は手書き能力低下の要因として、デジタル化の進展、家で手書きの練習をする時間が少なすぎること、細かい運動のスキルの低下、筆跡に対する無関心を挙げている。

    筆記技能の専門家は、子供達が手書きを習う際にもっと支援が必要であることを指摘する。例えば、特別な手書きトレーニング、家での細かい運動スキルの習得(粘土遊び、お絵かき、工作など)。

    ドイツ教員連盟は州の文部大臣に対して、手書きで書くことをもっと強化するよう求めている。子供の手書き能力の低下が深刻化している背景には、筆記や言語教育が教育政策で軽視されている現状があるという。例えば、基本語彙の減少、多肢選択法のテスト、穴埋めテスト、コピーの増加などを指摘する。

    様々な研究では、運動による記憶力と視覚的記憶力の関連性が証明されている。手で書くと、二つの記憶力領域の共同作用により学習効果が向上するという。

    ドイツ教員連盟は、学習水準をどんどん低下させる「ゆとり教育」を批判するとともに、すべての州で統一した筆記学習を導入するよう全国文相会議に求めている。同連盟は、連邦議会が提案している小学校におけるデジタルメディア(媒体)の投入を評価していない。

    これに対して、全国文相会議は、手書き能力の習得が次の会議の課題になるとして、ザクセン州の例を紹介した。ザクセン州は、生徒全員が小学校卒業時に手書き能力を習得していることを目指す「言語教育」コンセプトを開発して実施している。「書いたものは簡単に消せないので、書く前によく考えなければならない。それが論理的思考を促進し、内容をより集中的に思考する」という。

2015421日)

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